音の面 | In Dialogue with Noh Aesthetics and Classical Music

5月31日に東京にある能楽堂にてピアノと声による演奏会「音の面」をいたします。

“能面は喜怒哀楽のいずれにも定めがたい曖昧な表情を湛えています。その表情は能楽師の舞とともに、観る者それぞれの内に異なる感情を静かに立ち上がらせます。

本コンサートではこの能面の在り方を手がかりに、感情を直接的に描写するのではなく聴き手の内に立ち上がる感情の揺らぎに目を向けます。

また、構成は能の正式な上演形式である「五番立(神・男・女・狂・鬼)」をもとにプログラムを編成、一曲ごとの響きや表情だけでなく、それらが連なり移ろいゆくことで生まれる演奏全体の構成にも耳を傾けていただければ幸いです。”

神聖な能楽堂で演奏させていただくこのような機会をいただけたこと、大変光栄に思います。

能楽師の方に実際にお話を伺いながら、能楽の奥深さや演者としての在り方について学ばせていただき、日々新たな発見に満ちた時間を過ごしております。

また、愛読書である『茶の本』『武士道』に加え、今回新たに世阿弥の『風姿花伝』にも触れ、能楽を通して日本という国の在り方について深く考えるようになりました。

渡英してから長い年月が経ち、日本で過ごした時間とちょうど同じ長さになりました。異文化と向き合う中で、国の土壌が人柄に現れると感じるようになりました。自然との関係性や、その地で生命がどのように循環しているかが、人の感性や生き方に影響しているのではないかと感じます。

四季に恵まれた日本では、稲作を中心とした暮らしが長く文化を支えてきました。自然を支配するのではなく、尊重し共に生きるという感覚は、能楽の根底にも流れているように思います。

自らのルーツを静かに見つめ直すと同時に、外から日本を見ることで見えてくる美しさや、異文化にも通底する普遍性を、クラシック音楽を通してお伝えできればと思います。

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Pilgrimage of Sound | 音の巡礼